第96章

意気地なしが、みっともないほど大泣きしはじめた。

予想外すぎる。

彼の禍々しい気配が、いきなり倍近くまで膨れ上がった。自分の悲しみにどっぷり沈み込み、暴走するように――。

その禍々しい気配が、蒼海がさっき施した洗脳術を突き破った。

原田麻友が、ふっと正気に戻る。顔を上げた、その瞬間――

個室の壁一面の大きな鏡に映ったのは。

自分の頭の上に、制服姿の少年がべったり張りついている光景だった。

少年は口からごぼごぼと血を吐き、悲しみのあまり、目の奥から二筋の血の涙まで流している。泣きながら、笑っている。

「ひっ……!」

原田麻友は悲鳴を上げ、椅子からずるりと落ちた。テーブルのカッ...

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